I. 適正使用指針

(2017年7月4日施行)

(1) 適応基準(対象:疾患・病態)

心原性ショック例のうち、あらゆる内科的治療抵抗性の急性左心不全を主体とする循環不全が遷延する症例であって、下記のような従来のIABPまたはPCPSによる補助循環のみでは救命困難が想定される病態にあるもの。心原性ショック例の定義は細則に定める 。

以下の病態における各補助循環機器機能を参考に、既存の補助循環機器と比較して選択すべきと考える。

IABP

  • 圧補助を行うことで血行動態や冠血流の改善が得られ症状を改善しうるようなショックを伴わない重症心不全病態において使用。(PCI周術期の冠血流増加目的等を含む)。
  • ショックを伴う重症心不全例では、全身の流量が不足するため圧補助だけでは改善し得ず他の治療や機器への移行を考慮すべき。

PCPS

  • 全身への流量補助として、心肺停止状態、多臓器不全の進展や合併が予測される心原性ショックを伴う重症心不全。
  • 心負荷軽減効果がほとんど無く、左心系にはむしろ、後負荷を増大させる可能性がある。心機能改善は直接的には望めないため、離脱不可能な場合に早期のVADへの移行が必須。

補助循環用ポンプカテーテル

  • 左室内に留置されて左室の血液を汲み出し大動脈から全身に拍出する補助循環装置(VAD)と同等の機能を持つ流量補助装置。
  • 心負荷軽減と心筋循環改善による心機能改善効果が期待され、カテーテルVADであるため、ショック時の対応が迅速かつ低侵襲に装着可能。
  • 一時的な補助装置であるため、離脱不可能な場合は、中長期VADへの移行も考慮する。
  • PCI中のみの補助には使用しないこと。

(2) 施設要件

  1. 心臓血管外科専門医認定機構の基幹施設であること(新専門医制度に移行する場合には、再検討とする。)
  2. 体外設置型補助人工心臓実施施設もしくは植込型補助人工心臓実施認定施設であるか、これらの施設と密接に連携が取れていること
  3. 体外循環技術認定士等の補助循環に精通した技士がいること
  4. 補助循環に習熟したスタッフを有するCCUないしICUがあること
  5. 本機器使用前に、本機器の取り扱いについて医師及びスタッフは、製造販売業者が提供する講習会を受講することで手技に習熟すること
  6. 関連学会協議会が行う本機器の使用成績評価に参加すること
  7. 施設認定およびスタッフ等の規定については、関連協議会が設置する委員会で細則を決定する
    本施設要件に関しては、認可後全例調査を行い、関連協議会が設置する委員会で安全性および有効性をふくめた検討を行う。また、使用経験の増加に伴い検証が可能となることから協議会で細則を見直すこととする。
  8. 本指針は2017年7月4日より有効とする。

II.   細則事項

(1) 心原性ショック例の定義

定義は日本循環器学会心原性ショックレジストリに準ずる*。新たな定義が定められた場合にはそれに従う。

*定義: 院内外発症の心疾患による救急初療時ショック状態(初療前もしくは初療中:以下の大項目のうち一つと小項目を一つ以上満たしたもの)を呈した患者院外心停止患者については自己心拍再開後もショック状態が遷延しているものを含める。

大項目:
収縮期血圧100mmHg未満かつ心拍数60未満もしくは100/分以上
通常収縮期血圧より30mmHg以下の低下

小項目:
冷汗、皮膚蒼白、チアノーゼ、爪床反応2秒以上の遅延、意識障害(JCS-2以上)等、初療医が末梢循環不全と判断した場合

(2) 実施施設認定基準

  1. 心原性ショックの治療実績が十分にある救急・集中治療体制のある施設であること
  2. 循環器専門医および心臓血管外科専門医(小児施設の場合は小児循環器専門医)を必須とし、集中治療専門医、心血管インターベンション学会認定医などを加えて構成されるハートチームがあり、補助循環治療の実施体制が整っていること
  3. 体外循環技術認定士または人工心臓管理技術認定士3名以上
  4. 心臓血管手術年間症例が100例以上(小児施設の場合は18歳未満の心臓手術50例を含む)
  5. 最近3年間のIABP総数30例以上、およびPCPS/ECMO総数20例以上
  6. 最近3年間のPCI施行総数300例以上

小児施設における使用に関しては、「小児用補助人工心臓実施基準および適正使用基準」に準じて、「体重の小さい小児例」に対して用いるためのものである。これらの施設の認定においては、IABPおよびPCIの症例数は不要である。ECMO総数に関しては、「11歳未満における機械的循環補助(補助人工心臓、ECMOの装着)を最近5年間で3例以上」とする。

(3) 実施施設に求める体制及び使用要件

  1. 関連各部門の人員への導入トレーニングを受けること
  2. PMSを含めた補助循環用ポンプカテーテル全症例登録(レジストリ)を行う施設にのみデバイスが供給される。

(4) 補助人工心臓治療関連学会協議会の役割

  1. レジストリの管理および運営を行う。
  2. 施設の認定および検証を行う。
  3. 適正使用のモニタリングと勧告を行う。
  4. 継続的教育(セミナー等)を行う。
  5. 上記の役割を補助人工心臓治療関連学会協議会の承認のもとにインペラ部会で行う。

(5) 補助人工心臓治療関連学会協議会インペラ部会による適応基準、施設基準、運用基準の調整

  1. レジストリに基づいた検証を行い、選択基準、除外基準を含む適応基準や施設基準の内容、並びにその運用方法について、適宜見直しを行う。
  2. 症例登録に著しく遅滞した場合、または入力が行われないような場合には、事態の改善が確認されるまでの間、施設認定を停止するなどの措置を講じることがある。
  3. 地域性を考慮して、普及に合わせて認定を推進する。
  4. 施設要件や運用の細則については、当面の施設トレーニングやサポートの実施体制の制約、および導入後の臨床成績の評価を踏まえながら、3年後を目途に、点検・見直しを行う。
  5. 認定施設の更新については別途定める
  6. 本細則は2017年7月4日より有効とする。

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