インペラ使用についてのQ&A
Q—本製品はどのくらいの期間継続して使用できるのでしょうか?
A—本邦の承認書上では使用期間は明示されていません。設計上はIMPELLA 2.5は5日間、IMPELLA 5.0は10日間までの使用が想定されており、欧州のCEマークで認められたラベルに記載されています。 米国の製造元では、耐久性試験を行った結果、80%の信頼性と80%の統計的信頼区間を満たす値(この値は80/80値とも呼ばれ、米国FDAにおいては補助人工心臓(VAD)の信頼性確保における到達目標値とされているものです)として、IMPELLA 2.5では12日間、IMPELLA 5.0では23日間の継続作動が確認されています。
Q—本製品を継続使用した場合に、どのような管理上の注意が必要でしょうか?
A—メンテナンスや管理に関して、継続使用期間の長さに基づいて求められる固有の注意事項というものはありません。本製品使用上の注意は添付文書に示されています。
ただし、機器の使用を継続し、機器の使用限度が近づいてきた場合には、回転部分を支えるベアリングの疲労などからモータへの負荷が高まり、モータ電流の値が高くなる場合があります。ただ、こうした現象は必ず起きるというわけではないことを申し添えます。
また、添付文書にも記されているとおり、ポンプの羽根車(インペラ)が流体中でスムースに回転できるためには、ヘパリンが安定して供給されるようパージシステムが作動し、回転のためのわずかな隙間が維持されている必要があります。ヘパリン量の不足や適切なパージ圧の維持がなされないといったことがあると、このわずかな隙間が、血液などによって塞がる、または小さくなってしまうことがあります。そうした場合には、パージ圧が上昇していくことになり、同時に、回転摩擦が高まり、モータの電流値も上昇していきます。こうした現象も、本製品の使用限度が近くなってきていることの予兆であるとも考えられますが、同じ現象はヘパリンの使用の仕方やパージ圧の維持管理の手法によっても引き起こされるものであることにもご留意ください。ヘパリンの使用とパージ圧の管理については添付文書で示されているほかトレーニングでも触れられています。
Q—米国や欧州での実情はどうなっていますか?
A—欧米の施設では、製品の使用が継続された場合には、モータ電流・パージ流量に注意し、これらに変化が見られた場合には、使用限度について考慮することが勧められています。なお、考慮に当たっては、ポンプの入れ替えの際に、ポンプ抜去・交換に伴う循環不全・塞栓症・血管損傷のリスクがあること、また、稀に起き得るポンプ停止の可能性があること等について勘案し、速やかに判断することが求められます。
各施設におかれましては、これらを踏まえ、設計上の使用期間を目安として、施設 の医師のご判断の下で本製品の運用をされるようお願いいたします。 なお、添付文書では、使用期間について、「患者の原疾患、容態、既往歴、体格、血行動態の悪化の程度、共存疾患、これまでの治療などを考慮し、補助循環期間を決定すること。」と記載されていますことにご留意くださいますようお願いいたします。